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ネットワークオーディオの本質

 2013/12/22初出の記事を、核心はそのままに、今までの蓄積と現状を踏まえて更新。


 タグ。ライブラリ。アルバムアート。サーバー。プレーヤー。
 【音源管理の精髄】と【ネットワークオーディオTips】の各章で、それぞれの要素について記事を書いてきた。

 ここであらためて問い直そう。


 ネットワークオーディオとは何か。


 NASなどのサーバーから、ネットワークオーディオプレーヤーに、LANで音源をストリーミングして再生するシステム。
 「ネットワークオーディオ」というと、おおむねこのように理解されている。
 これはこれで決して間違いではない。

 しかし、この答えには、極めて重要な要素が欠けている。


 『コントロール』である。

 そして、『コントロール』こそがネットワークオーディオの本質である。


 ネットワークオーディオにおいて、ネットワークという要素は空間に制約されないコントロールを実現するためにある。この時、大切なのは体験であって、音質ではない

 サーバーやプレーヤー(PCを含む)の設置場所という制約から解放された状態で、自身のライブラリを縦横無尽に駆け巡り、聴きたい曲を自由自在に聴く。
 視聴位置の椅子に身を預けたまま、あるいはその辺に寝っ転がりながら、音楽再生のあらゆる操作を手元の端末から行う

 「ネットワークを用いて再生機器からコントロールを独立させる」というスタイル。
 これこそ、音質云々やデータ転送の仕組み云々を越えた、他の方式とは決定的に異なる、ネットワークオーディオをネットワークオーディオたらしめるものだ。

 最終的に出てくる音の良し悪しは、他の方式でもそうであるように、システムの構成とセッティングを含む全体の結果である。「ネットワークオーディオの音質」という言葉と、システムを構成する個々の機器・ソフトの実力は峻別して考える必要がある。


 従来オーディオで追求してきた高音質と、デジタル・ファイル音源を扱うことの利便性。そこに「快適に音楽を聴く」という新たな価値を付け加えるという部分に、ネットワークオーディオの存在意義がある。音質と快適さの両立がここで実現する。

 よって、「PCをそのまま使って聴いたほうがよほど快適だからネットワークオーディオなんて要らん」と言われれば、そこでおしまいである。それはそれで別にいい。音源の管理とライブラリの構築は無駄にならないし、音楽を聴く環境は様々で、何に快適さを感じるかは人それぞれ。そこで食い下がるつもりはない。

 ただ、例えば「LANケーブルで音が変わる」とか「ハブで音が変わる」とか、そういういかにもな話題にばかり注目が集まり、結果的にそれだけでネットワークオーディオがこき下ろされるというのは見るに忍びない。
 オーディオの一領域である以上、音が良いことは当たり前。もちろんネットワークオーディオでも、ハードとソフトの両面で音質を追求する様々な努力は常に行われている。それに関連して、上で触れたようないかにもな側面があることは否定できない。というより、オーディオなんて得てしてそんなもんだ
 しかし、決してむやみな音質の追求がネットワークオーディオのすべてではない
 ネットワークオーディオには「快適な音楽再生」という価値があることも知ってほしい。


 繰り返すが、ネットワークオーディオの本質はあくまで『コントロール』である。
 サーバーやプレーヤーの設置場所という制約から解放される――つまり、音楽を聴く場所に「居ながらにして」、音楽再生のあらゆる操作が可能になるというのが肝になる。


 実例を挙げると、


 『NASを用意して、ネットワークオーディオプレーヤーにLANで音源をストリーミングして再生しているが、選曲や操作はプレーヤー本体の画面で行っている』

 これはネットワークオーディオの実践ではない。
 

 逆に、


 『単体ネットワークオーディオプレーヤーもNASも使っていないが、PCの再生ソフト(foobar2000やらMediaMonkeyやらJRiver Media Centerやら)をネットワーク越しに専用アプリでコントロールしている』

 これは立派なネットワークオーディオの実践である


 単体ネットワークオーディオプレーヤーを使っているからと言って、ネットワークオーディオを実践しているということには必ずしもならない



 それではあらためて、『ネットワークオーディオ』とは何か

 『音楽再生におけるコントロールの方法論』である。


 ネットワークオーディオプレーヤーを使うことがネットワークオーディオなのではない。
 NASを使うことがネットワークオーディオなのではない。
 ネットワークオーディオにはNASが必須だというのは大きな誤解
 LANで音声データを転送することがネットワークオーディオなのではない。
 UPnP/DLNAを使うことがネットワークオーディオなのではない。
 PCを使わないことがネットワークオーディオなのではない。

 ネットワークオーディオとは特定の再生機器に限定されるものではないのである。


 業界の共通認識とは異なることを言っている自覚はあるし、必ずしも多くの人から同意を得られるとは思っていない。
 しかし、これがネットワークオーディオというものと向き合ってきた結果辿り着いた、私の偽らざる認識である。


 そして、

 居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌に尽くしがたい快適さ。

 これこそ、私が多くの人に味わってほしいと願ってやまない、ネットワークオーディオがもたらす福音である。


 タグ。
 ライブラリ。
 アルバムアート。
 サーバー。
 プレーヤー。

 そして、『コントロール』。
 ネットワークオーディオを構成する最後のピース。
 快適な音楽再生が最終的に実現するか否かはここで決まる。

 血と汗と涙を流しながら取り組んできた音源管理も、システムの構築も、あと少しで報われる。



コントロールアプリの重要性

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

よくある質問と検索ワードへの回答

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