前回の記事に寄せられたコメントから、以下の三つの問いを得た。


①WAVから取り込んでFLACに変換すればどうなるか。

②データディスク(WAV収録の物)をFLACに変換すればどうなるか。

③FLAC Lossless Uncompressedは実質的にWAVではないのか。もしそうなら、音質に差が無くて当然である。それでは、通常のFLAC(レベル5~6が一般的)とWAVの音質は異なるのか。


 
 この三つの問いに手っ取り早く答えるため、「OTOTOYからダウンロードしたWAVの音源」と、「それをdBpoweramp Music Converterで圧縮レベル5でエンコードしたFLACの音源」を使って比較を行った。
 
 最初からWAVでダウンロードしたハイレゾ音源、ということで、①と②の要件は満たせると思う。この検証の目的はWAVとFLACに音質差があるか否かということであって、リッピングを云々することではないので。
 そして、上記の音源をFLAC Lossless Uncompressedではない形でエンコードすることで、③の要件も満たす。
 ちなみに、そもそも“通常の”FLACや“異常な”FLACというものが存在するのかどうかは私は知らない。私がFLACに求めるのはひとえに「タグが使える」ということだけであって、それさえ果たされれば通常だろうが異常だろうが別にどうでもいい。

 なお、前回の記事で比較に用いた「Helge Lien Trio / Natsukashii」は45%の圧縮がかかった、上の問いで言うところの“通常の”FLACだったことを改めて述べておく。



 検証に使った音源はコレ。

アルバムfrasco
 eufonius / frascoより、表題曲の「frasco」
 上の条件を満たす音源は非常に限られている。eufonius以前にOTOTOYからWAVでダウンロードした音源、例えばtoeとかAsiaとかは既にFLACに変換してしまい、オリジナルのWAVを残しておらず比較ができない。
 前回とはだいぶ毛色の違う音源ではあるものの、決して音は悪くないし、比較にも耐え得るレベルにあると思う。


 これがダウンロードした状態そのままのWAV。
 タグもアルバムアートもまるきり入っていない正真正銘完全無欠のWAVである。
WS000405

 dBpoweramp Music Converterを使用し、FLACにする。
 なお、圧縮レベルは「デフォルト」の5である。
WS000406
WS000407

 そして出来上がった“通常の”FLAC。
WS000408

 では、比較。
 タグを何もいじっていないので不明のオンパレードである。
6

 一応、再生環境ももう一度示しておく。

LUMIN A1
BENCHMARK DAC2 HGC(プリとして)
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire



 …………


 ……


 違いがわからない。

 僅かな違いでも聴き取ってやろうと気合いを入れて臨むのだが、何か違うような気がしても、何度も聴けば聴くほど、結局は「気のせい」という言葉に収斂していったと言わざるを得ない。
 比較に際しては、目を閉じて、指だけを動かしてLUMIN Appを操作してWAVとFLACを行き来している。「ん? 違う???」と思って目を開けてみると、実は指先が狂ってWAVが二連続で再生されていた……そんなことさえあった。所詮こんなもんである。こんなもんでしかない。
 そして結局、私は同じ結論に辿り着く。


 WAVとFLACで音は変わるか?

 変わりません。


 気にしたい人は気にすればいい。
 あらためて言うが、私にとって大切なのは、

 タグを用いた音源の管理運用>>>越えられない壁>>>WAVとFLACの存在するかどうかも怪しい音質差

 である。
 WAVとFLACの音質差なんてものに心血を注ぐよりも、そのぶん心穏やかに、快適に音楽を楽しむことを私は選ぶ。



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