※この記事のデータ等は基本的に2012年3月16日時点のものです



●イントロダクション
「PlugPlayer」…………かつてネットワークオーディオのコントロールアプリが精々2つしか無かった時代、“DS以外でも使え”、かつ“安い方”として有名になったアプリである。
その時に築き上げた知名度は半端ではなく、PlugPlayer以外にも色んなアプリが出て、無料で使い勝手に優れたアプリもあり、さらにかつての“高い方”であるSongBookが同じくらい安価でさらに汎用アプリになった今でさえ、なんとなくネットワークオーディオのコントローラーといえばPlugPlayer、という風潮を未だに感じるくらいである。
正直どうかと思うが。
色々な人にとって困った時にはPlugPlayerと言っておけばどうにかなる、というお役立ちアプリなのだが、かつては“安い方”の名に恥じぬ、SongBookの足元に及ばない完成度の文字通り安かろう悪かろうのアプリだったことも確かである。しかし、業界におけるネットワークオーディオの興隆に伴い、PlugPlayerもゆっくりと、時には妙な素早さをもって、着実に進化してきている。
ここではネットワークオーディオの黎明期を支えた古参のアプリについて、冷静かつ客観的に他のアプリとの比較も踏まえつつ、大いなる敬意を持って検証を行いたい。


iPhone/iPod Touch版とiPad版は別々で、価格はそれぞれ450円。


●検証環境
無線LANルーター:Buffalo WZR-HP-G450H
NAS:QNAP TS-119 firmware version 3.6.0 Build 0210T
サーバーソフト:TwonkyServer version 6.0.38
レンダラー:MAJIK DS-I
コントローラー:iPad2


●インターフェース&コントロール
PlugPlayerのiPad版は縦でも横でも使える。
インターフェースは縦と横ではちょっぴり異なる。

縦画面時の基本インターフェース。
「どうだ! 文句あんのか!」と言わんばかりのシンプルさである。ちなみにKinskyの次にアルバムアートが大きく表示されるアプリでもある。
s_App再生画面 004

画面左上の「Browse」を押すと、各種操作を行うウィンドウが表示される。
s_App再生画面 007


横にすると、画面横に操作ウィンドウが常に表示される格好になる。そのぶん、表示されるアルバムアートは少々小さくなる。ウィンドウそのものは縦画面の時と全く同じ。
s_App再生画面 006


操作ウィンドウ内、画面左下、「Playlist」は現在のプレイリスト。編集と保存もここで。また、「→」を押すとシャッフル、リピートを切り替えられる。
s_App再生画面 007


「Browse」は選曲。縦表示の場合、「Browse」の中に「Browse」があるという少々奇妙なことになっている。
s_App再生画面 008

PlugPlayerの場合、アルバム内のどの曲を選択しても、プレイリストにはアルバム全曲が登録された上で、選択した曲が再生される。ここがChorusDSやSongBookと決定的に違う点である。
ChorusDSやSongBookのように、アルバムの中から任意の曲だけをプレイリストに送りたい場合は、操作ウィンドウ内右上の「Select」を押し、任意の曲をチェックし(〇→●)、「完了」を押すという工程が必要になる。
s_App再生画面 009


余談だが、かつてPlugPlayerは“選曲の際にアルバムアートが表示されない”アプリだった。視覚的に、アルバムアートをもって選曲をするということができなかったため、この点においてSongBookとは決定的に差を付けられていたのである。
今でこそ他のアプリのように、選曲の際にもアルバムアートが表示されるようになったが、そのアップデートが為されたときは「あのPlugPlayerがついに!!!!!!!」とほんの少し驚いたものだ。

「Devices」はレンダラーとサーバーの選択を行う。
PlugPlayerの大きな難点として、機器の検索力が弱いことと、今までヒットした機器をアプリ側でクリアできないことがある。後者についてはアプリをアンインストールする以外に方法が無い。
s_App再生画面 010


ちなみに「CloudUPnP Server」とはヨーロッパ方面で現在画策されているサービスのようだが、今のところ実体も進展も無い。
なお、PlugPlayerではiPad、またはiPhone/iPod Touchをレンダラーとして指定することもできる。つまり、NASに入っている音源をiPadに挿したヘッドホンで聴く、なんて芸当ができるのである。意味があるかははてしなく微妙だが、なぜかFLACも再生できる。無線LANの帯域の関係かノイズは入るがハイレゾさえ再生できる。

「LINN」とはDSをレンダラーに指定した時のみ表示される項目。
といっても電源のオンオフくらいしかできず、あまり意味は無い。
s_App再生画面 011




●機能
・再生:〇
・一時停止:〇
・停止:〇
・曲送り:〇
・サーチ:〇
・ランダム再生:△(リピートと同時使用不可)
・リピート再生:△(ランダムと同時使用不可)
・プレイリストでの再生管理:〇
・プレイリストの保存:〇
・検索ウィンドウ:〇
・アルバムアート拡大:〇
・音源のスペック表示:×
・音量調整:〇
・ミュート:×
・機器の入力切替:×
・電源オンオフ:△(DSのみ)
・機器の再検索:△(精度悪し)

とりあえず、ネットワークオーディオにおいて音源を再生するうえで最低限必要な機能は一通り揃えている。
逆にPlugPlayer特有の機能といえるものも無い。

iPadまたはiPhone/iPod Touchをレンダラーに選択するとAirPlayが使用可能。用途は不明。この手のアプリの中ではいち早くAirPlayに対応した。
また、ChorusDSやSongBookDSよりも早くDSの最新バージョンに対応したり、妙なところで対応が素早いアプリである。
その労力をインターフェースの刷新や機能の拡充に注いでくれればいいのだが。



●操作感
速度検証:42.2秒  ※速度検証の詳細についてはこの記事を参照
SongBook’11 UPnPという例外を除けば、最も遅いアプリである。
シンプルといえば聞こえはいいが、実際には必要な機能にアクセスするまで手間がかかり、要領を得ない挙動は一向に改善されない。
選曲時にアルバムアートが表示されるようになったはいいが、他のアプリに比してサムネイル表示に時間がかかりすぎるのも難点。
情報の取得さえしてしまえばスクロール自体はそこそこ滑らかに動くが、安定性は決して高いとは言えず、調子に乗って一気にすいーとスクロールしようものならすぐ落ちる。前述のとおり機器検索の精度も悪く、いくら再検索をかけても一向に目当てのサーバーが見つからないということもしばしば。(かつてヒットした機器とIPアドレスが同一だったりすると競合する?)
とにかく古臭さとストレスを感じる局面が多い。



●まとめ

5段階評価――3あれば及第点

・インターフェースの洗練度――2
・情報の一覧性――2
・速度――2
・機能性――2
・安定性――2



選択肢が無かった以前とは違い、今となってははわざわざPlugPlayerを使う必要は無い。残念ながら、PlugPlayerは既に時代遅れと言わざるを得ない。
しかし、そのシンプルさとクラシカルなインターフェースは、黎明を知るという点で、ネットワークオーディオを深く知ろうとする者にとっては一見の価値がある。
そして何より、コントロールアプリのひとつの原点として、これからも長く引き合いに出され、かつ記憶されていくことだろう。



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