Dolby Atmos。
 残念ながら映画館で聴いたことがないし、対応AVアンプで聴いたこともない。田舎住まいの悲しさよ。
 それでも、導入に向けて備えることならできる。色々と考えたことを備忘録的に書いていきたい。


 フロントワイドとかフロントハイトとか、その手のチャンネル増設には興味がなかった。ディスクリートではない、演算で作り出したチャンネルに大した意味を見いだせなかったというのが最たる理由だが、フロントに鎮座するSapphireがスクリーン前面を圧倒的密度の音で満たしてくれるため、そもそも必要性を感じなかったというのもある。
 が、Dolby Atmosは違う。文字通り次元が違う方法論であり、従来とは異質な経験ができるのではないかという期待がある。

 とにかく導入することだけは決まっている。

 ただ、多くの人にとってそうであるように、問題はスピーカーを天井に取り付ける必要があるということだ。イネーブルドスピーカーなんていうソリューションも用意されてはいるが、最高のパフォーマンスを発揮するためには天井設置が必要だということに変わりない。何より、そんなものは使いたくない。

 とりあえず天井にスピーカーを設置できるか否かは気にせず、まずはDolby Atmosを導入するうえでのスピーカーの配置を考えてみたい。

Dolby Atmos雛形

 上の図は私の部屋における現時点のスピーカー配置である。
 1 pixel=0.5cmとして、おおむね実際の比率で作成している。(クリックで拡大)

 サブウーファーなし、フルDynaudio構成の7.0ch。
 間取りは530cm×348cmの12畳。
 スクリーン面との距離は265㎝。
 背後の壁との距離は240cm。
 図右下と左下はそれぞれAVラックとソフトラック。

 この部屋にDolby Atmosを導入しようとした時、現時点で得られる情報を踏まえて考えたスピーカーの配置は以下のとおり。

Dolby Atmos検討

 紫・青・緑の3パターンを考えた。
 側面図も以下に示す。
 視聴位置――耳の高さは床から80cm。
 ちなみにSapphireに合わせるため、サラウンド・サラウンドバックともにスタンド等で背の高さを稼いでいる。Dolby Atmosとの兼ね合いで、特にサラウンドについて高さを下げる必要が出てくるかもしれない。

Dolby Atmos検討横説明付

 ①紫
 天井スピーカーを1セット、すなわち7.1.2構成の場合。
 この場合の天井スピーカーはトップミドルと言うようだ。
 トップミドルは視聴位置真上ではなく、ほんの少し前方という記述があったため、視聴位置真上を基点に30cm前方にしている。ちなみにこの30cmという数値に根拠はない。単なるカン。

 ②青
 天井スピーカーを2セット、すなわち7.1.4構成の場合。
 この場合の天井スピーカーは前方をトップフロント、後方をトップリアと言うようだ。
 視聴位置からの仰角は60度。天井スピーカーは視聴位置真上を基点にそれぞれ92cm前後に離れている。

 ③緑
 7.1.4構成その2。
 某メーカーのスピーカー設置マニュアルによると、トップフロントの仰角は30~55度とある。
 この構成は仰角45度で作成したもの。天井スピーカーは視聴位置真上を基点にそれぞれ160cm前後に離れている。


 まず、私はDolby Atmosの真価を発揮するためには天井スピーカーが2組以上必要だと勝手に思っているので①という選択肢はない。わざわざ作っておいてアレだが。

 では②か③か。
 某メーカー推奨の仰角での配置(③)は、見てのとおりトップフロントとトップリアの間隔が広すぎるという印象を受ける。320cmもある。広大な部屋で、なおかつ非常に優秀なスピーカーを鳴らせるのなら、320cmという間隔でも問題はないだろうが、実際に設置するのは色々と制約のある天井スピーカーである。つまり私が心配しているのは、「こんなに離して設置して、”視聴位置直上”からの音が精密に出せるのか」ということだ。勿論理論上は鳴らせるはずだが、実際にどうなるのかは分からない。ここまで間隔が広がるなら、さらにトップミドルも加えた7.1.6構成が必要な気もする。

 一方で②は、随分とおさまりが良く見える。そして偶然にも、既設スピーカーの間にうまい具合に入り込んでいる。
 良さそう。
 この”良さそう”というのはある意味私のオーディオ経験を総動員したうえでの感覚なので、それを信じることにする。

 というわけで、あくまで天井にスピーカーを設置できる場合という条件付きではあるが、私の部屋におけるスピーカー配置はこうだ。

Dolby Atmos検討②

 こういう検討、もとい妄想をするのは実に楽しい。



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