BDスターウォーズ
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発売直前最速レポート!『スター・ウォーズ』BD-BOXのクオリティ&見どころを総力検証


 “待望の”、という言葉がこれほど似合うタイトルもそう多くはなかろう。
 いつかはBD化される、それは間違いなかった。しかし、それが“いつ”になるのかは分からなかった。
 極端な話ではあるが、もし、スター・ウォーズのBD化が最初期に発表されていたとしたら、HD DVDとの規格争いはまた別の展開を見せていたように思う。
 しかし実際には、BD化までには長い時間がかかった。
 製作側は、『スター・ウォーズ』をBD化するにあたり、彼らが求める画質や音質の要求を満たすために、BD化の技術やノウハウが成熟することをずっと待っていたのである。
 すなわち、『スター・ウォーズ』がBD化されるということは、BDというメディアが名実ともに成熟したということを端的に示すものであった。
 AV業界は大いに沸いた。お祭りだった。

 こうして我々の前に姿を現した『スター・ウォーズ』のBDは、期待を裏切らない素晴らしいクオリティだった。
 各作品の画質音質がどうであったかについては、上記リンク先の記事を読んでもらいたい。
 なお、リンク先の記事では諸事情につき【BDレビュー】で使っている画質音質の評価点を使用することができなかったので、今ここでその評点を示そうと思う。
 【BDレビュー】で評価している他のソフトを比較して、何かしら参考になれば幸いである。

『エピソードⅠ ファントム・メナス』 画質:10 音質:11
『エピソードⅡ クローンの攻撃』 画質:13 音質:9
『エピソードⅢ シスの復讐』 画質:15 音質:15
『エピソードⅣ 新たなる希望』 画質:7 音質:8
『エピソードⅤ 帝国の逆襲』 画質:8 音質:12
『エピソードⅥ ジェダイの帰還』 画質:9 音質:10

 フィルム主体の旧三部作とデジタルまみれの新三部作、どちらも製作された年代を考えれば傑出したクオリティを有しており、特に暗部における圧縮ノイズといった技術的問題からは完全に解放されている。製作側にとっても、ユーザーにとっても、まさしく“待った甲斐があった”出来映えである。
 特にエピソードⅢの画質音質は超絶的と言ってよく、このレベルを実現しているBDは私の知る限り、本当に数えるくらいしか存在していない。さらに素晴らしいのは、映像的には文句なしだが(厳しく評価すれば)音はイマイチな『アバター』、音響的には究極だがフィルムである以上玄人以外にはその高画質ぶりが伝わりにくい『プライベート・ライアン』、そもそも3DCGアニメなので同じ土俵で評価されにくい『WALL.E』などとは違い、実写映画として、誰が見ても「凄い!」と思わせる普遍的な高画質・高音質であるということだ。そして何より、知名度としては圧倒的である。“見たことがある”という人も非常に多い。だからこそ、凄さが“伝わる”。
 すなわち、“BDの凄さ”を示すうえでも、これ以上ないほどに優れたソフトなのである。私は誰かに「BDってどれくらい高画質なの?」と聞かれたら、何かしらリクエストがない限り、真っ先にエピソードⅢを見せる。むしろ聞かれなくても見せる。それくらい、視てほしい、聴いてほしい、知ってほしい、体験してほしいソフトなのである。
 ちなみに見せるのはオープニング~宇宙戦~ドゥークー伯爵戦でも勿論いいのだが、個人的なおすすめはヨーダvsダース・シディアスとアナキンvsオビワンが同時進行する終盤のシーンである。映像的にも音響的にも、これを越えるシーンはそうそう存在しない。


 極めて個人的な話をさせてもらえば、『スター・ウォーズ』のBDは、私にとって、単なるBDソフトというものを越えた存在である。
 というのも、発売に先駆けて視聴する機会に恵まれたうえに、私が書いた画質音質のレビューがメディアに掲載されたからだ。
 私の拙いレビューでどれだけ『スター・ウォーズ』の画質音質を伝えられたかは定かではないが、この体験は、私に『スター・ウォーズ』という映画史に残る作品の、ほんの僅かにせよ一部分になれたという感覚を与えてくれた。それと同時に、過去何十年と続くAV史の一頁になれた気がした。オーディオ・ビジュアルを趣味にする人間にとって、こんなに嬉しいことはない。
 そしてこのような機会を得られたのも、【BDレビュー】を継続して書き続けてきたからだった。BD様様である。


 立ち上げ以降、留まることを知らずにBDはそのクオリティを上げてきた。
 愛してやまない大好きな作品が、かつては想像すらできなかった高品位な画質音質を伴って再び姿を現すという喜び。BDに出会って善かった、オーディオ・ビジュアルという趣味を始めて善かったと心の底から思った。
 『スター・ウォーズ』のBDBOXは、BDの登場から約5年後という絶妙のタイミングで、クオリティに対する情熱を糧として蓄積されてきたBDの進化と成熟を、最高の形で体現したと言えよう。
 AV史に名を残すとはまさにこのことである。



BDレビュー総まとめ