画質:10
音質:14
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC デジタルやらフィルムやら撮影フォーマットは色々・2Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:大 オブジェクト効果:大


○画質
 おそらく『レヴェナント』よりも、『マリアンヌ』よりも、『猿の惑星:聖戦記』よりも一般受けしそうな、物凄くわかりやすい超高画質。猿に引き続き2Kマスターのタイトルに画質評価10点を付けるこの事態に、もはや2Kマスターか4Kマスターかを気にする必要なんてないのではないかと思えてくる。というより、IMDbの情報は本当に正確なのか?
 UHD BDの画は、BD時代のように迸る情報量とキレキレの解像感を強く意識させるというよりは、むしろそのふたつを極めて高い次元でバランスさせたうえにHDRの効果をくわえ、「自然」という感覚を与えてきた。【UHD BDレビュー】で画質評価10点を与えた上の三タイトルは、どれも情報量・解像感ともに極めて優秀でありながら、なお「自然」という印象が勝った。
 一方の本作の画は、さすが「こってりぎとぎとぎらぎら」を身上とするトランスフォーマーシリーズだけあって、決して「自然」ではない。旧作に比べれば随分と自然な画になってはいるが、それでも本作は人工的な、されど見目麗しい色調や鮮烈な光彩が支配する。そういう「自然ではない」画だからこそ、本作の類稀な解像感と情報量が際立っているとも言える。
 人物のクローズアップは常に切れ上がるような解像感と凄まじい情報量を叩きつけ、特にアンソニー・ホプキンスの表情などはぎょっとするほどの迫真の画を見せる。画面を躍動するトランスフォーマーは文字通り視覚の御馳走であり、パーツのひとつひとつにうっすらと浮かぶ輝きや模様に到るまで、極限のディテールを提供する。
 本作はフィルムを含む様々なカメラで撮られ、シーンによってはカット単位で縦横比が変わるほどだが、全体的な画調は安定している。画質も全編通じて高度に安定している。
 HDR効果は終始最高潮にして絶好調である。びかびかと光らせまくる映像を撮るマイケル・ベイ作品はそもそもHDRとの相性が最高だったということもありそうだ。ありとあらゆる輝きが実に瑞々しく力強い煌めきを放ち、爆発が起これば火花の閃光から膨れ上がる爆炎の襞、燻る煙に到るグラデーションを克明に描き、さらに暗部においても揺るぎのない階調を強い輝きと画面内で両立させている。作品を彩る車の艶めかしさや、陽を浴びて照り輝くオートボットたちのボディの質感は陶然とするほど美しい。本作におけるHDRは「自然」という感覚の醸成よりも、純粋に「画の美しさ」を高めている印象がある。CGまみれの映像ということもあり、本作のHDR表現に類似するものとして思い浮かんだのはずばり「ゲーム」であり、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』や『Horizon Zero Dawn』といったタイトルである。
 正直に言えば11点さえ付けたくなったが、また点数のインフレを起こすことをおそれて思いとどまった。

○見どころ
全部


○音質
 これはトランスフォーマーシリーズにも共通して言えることだが、本作はダイナミックレンジを広く取っている関係で、収録音圧が幾分小さくなっている。そのため、普段よりもちょいと音量を上げた辺りが、本作を見るのに適している。続く評価はこの状態でのもの。
 重さ、鋭さ、激しさ、緻密さといったドンパチ映画に求められる諸要素のすべてを極めて高いレベルで網羅する、さすがトランスフォーマーシリーズと言うべき天晴れな仕上がり。特に「重さ」の表現は群を抜いている。トランスフォーマーの躍動は常にサブウーファーを駆使した重厚さとともにあり、空間を激しく打ち据える。さらに終盤、シリーズ恒例のとにかくでかいものがどったんばったんを繰り返すシーンではサブウーファーが悲鳴を上げそうになる。それでいて単にぶぼぼと唸るだけでなく、緻密な音の積み重ねや立体感のある空間性をきちんと維持しているのだから素晴らしい。
 オブジェクトオーディオの活用という点でも、パッとしなかった前作の遥か上を行く。トップスピーカーは空間表現と威力の両方で要所要所で大活躍し、シリーズ最高の精密な移動感やまったく隙のない包囲感を生み出している。
 全体的にとっても素晴らしいのだが、瞬間的な一撃の威力という点ではまだまだ極限に達しておらず、気が早い話ながら続編ではそこんところを期待したい。

○聴きどころ
 でかいものが出てくるとこ全部


○総評
 相変わらず話は「話になってない」といった様相を呈しているが、まあこの手の作品に求めるのは派手な映像と派手な音響なので、それはそれで別に構うまい。
 UHD BDとしての品質は現状で『ハクソー・リッジ』に並んで究極的なレベルにある。特に画質面は「一目でわかる4K/HDR」といった趣であり、デモ効果が恐ろしくありそうだ。
 BDにおいて常に突出した画と音を提供してくれたこのシリーズは、UHD BDにおいても健在だったと言える。トランスフォーマーはシリーズ全作がUHD BD化されるわけだが、本作の出来映えを見るに手を出す価値はおおいにありそうだ。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
Nmode X-PM7(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)



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