この記事で言う「単体サーバー」とは、「オーディオのためだけに使うサーバー機器」を指す。
 要するに、「オーディオ用NAS」とか、DELAとかLUMIN L1といった製品のこと。加えて、純粋にサーバーとしてのみ使うとすればPCも含まれる。

 単体サーバーに対して、「今あるPCにサーバーソフトを入れることでサーバーとして運用する」というものがある。
 処理能力で単体サーバーを上回り、様々なサーバーソフトを導入できるため、汎用性・柔軟性はPCの方が優れている。今あるPCを使う以上、機器に新たな投資は不要。

 しかしプレーヤー同様、ネットワークオーディオの実践に必ずしもNAS――単体サーバーは必要ではないとわかっているからこそ、あえて単体サーバーを導入するメリットもわかる。もちろん、デメリットだってわかる。
 すると、「せっかく導入するならどんなサーバーがいいのか」も見えてくる。
 闇雲に何かをすすめているわけではないのだ。
 そこんところをはっきりさせたい。

 なお、単体サーバーを使おうが使うまいが、まずは音源がないと話にならない。
 音源管理を徹底し、自分にとって理想のライブラリを構築することがサーバー云々に先んじる。


 では、あえて単体サーバーを導入するメリットを書いていく。


メリットその1
音楽を聴く際にPCを起動させておく必要がない


 単体サーバーを使う最大にして究極的には唯一のメリット。
 ライブラリを完璧に仕上げて、サーバーに保存すれば、それでPCの役目はおしまい。
 あとはPCの電源を落として、オーディオ部屋にこもって、音楽を聴くのみ。


メリットその2
置き場所の自由度が高い

 ネットワークに繋がってさえいれば、サーバーはどこに置いてもいい。
 オーディオラックに入れてもよし。ファンノイズや電源ノイズが気になるならオーディオ部屋の外に置いてもよし。
 また、何らかの形でサーバーにデータを保存さえできれば、音源管理用のPCをオーディオ部屋に置く必要はない。


メリットその3
静音

 あくまでPCに比べれば。
 ファンレスならばなおよし。


メリットその4
低消費電力

 あくまでPCに比べれば。


メリットその5
音源のバックアップがひとつ増える

 バックアップは多いに越したことはない。


メリットその6
サーバーをオーディオ機器として扱える


 単体サーバーが今あるPCよりも音がいい保証はどこにもない。
 が、高音質を謳うサーバー製品があり、実際にサーバーで音は変わる。
 音が変わる理由は色々と考えられる。ノイズの問題、ケーブルの問題、設計の問題、置き方の問題云々かんぬん。
 いずれにせよ、高音質を望み、オーディオ機器として色々な工夫を試せるのも、単体サーバーなればこそ。今あるPCをそのまま使ったのでは、そこまでの自由度はない。


 ここからデメリット。
 避けては通れない。


デメリットその1
お金がかかる

 導入するからには。
 1万そこそこ~100万越えまで色々。
 純然たるオーディオ用を謳う製品は流石に高額。


デメリットその2
導入・設定云々がめんどくさい

 人によってはコレが最大の問題になる可能性も。


デメリットその3
PCに比べて処理能力・汎用性・柔軟性・発展性に欠ける

 モノに依るが。
 処理能力の低さは時として動作の緩慢さや不安定さを生む。
 サーバーソフトが一つだけで、他のソフトを入れられない場合がある。
 サーバーソフトのアップデートができず、機能面で取り残される可能性がある。
 将来的により良いサーバーソフトが現れても、対応するとは限らない。


デメリットその3′
製品の内容をきちんと見定めたうえで買わないと痛い目を見る

 そのNAS、中身Twonky Serverだけど、本当にそれでいいの?
 そのNAS、Twonky Serverしか使えないけど、本当にそれでいいの?
 見た目や宣伝文句の豪華さに踊らされず、まずは実際の使用感を左右するサーバーソフトについて確認しよう。



 以上のメリットとデメリットを踏まえて、「せっかく導入するならこんなサーバー」を考えてみる。

・ファンレス/無音
・動作が安定している
・自分にとって現時点で使いやすいサーバーソフトが入っている

・設計がオーディオ的に豪華
・ついでに音がいい

 オーディオ部屋からPCを放逐し、さらに音楽を聴く際にPCから解放されたいと思った時、少なくとも上三つが満たされるなら、単体サーバーを導入する価値はある。
 そして導入したサーバーがモノとしてオーディオマインドに溢れ、しかも音がいいなら万々歳じゃないか。



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