ネットワークオーディオの魔境を往く – サーバーで音は変わるか? ハード編
ネットワークオーディオの魔境を往く – サーバーで音は変わるか? ソフト編


 上の記事を書いた時点で、私自身「サーバーで音は変わる」ということを実感してはいたが、まだそのことについて本気で考えてはいなかった。
 というより、そんなものはあくまで魔境だと思っていた。
 当時はまだDELAが登場して間もない頃だった。

 「サーバーで音が変わる」だって?


 ところが、それから約1年、状況は大きく変わった。


 いつの間にか「サーバーで音は変わる」ということがまるで自明のように扱われ、NASの音質比較が雑誌で特集を組まれては大好評を博すようになった。
 相変わらずサーバーの中身についての言及はほとんど行われないまま、猫も杓子も音質音質と大騒ぎ。
 いやはや、オーディオ業界は恐ろしい。
 あっという間に魔境が侵蝕してくる。
 あーあ。


 ま、そんな話はさておき。


 私は「サーバーで音が変わる」ことを否定しない。
 QNAP TS-119にアナログ電源を入れたら変わったし、LUMIN L1で変わったし、DELA N1Zでも変わった。
 なぜサーバーで音が変わるのかと聞かれたところで、明快な答えを用意することは難しい。
 しかし、あくまでサーバーを音源の保存と配信を担う「オーディオ機器」として捉えれば、音が変わる理由なんてどうとでも考え付く。
 筐体、基板、素子、使用するストレージ、振動対策、ノイズ対策、電源周り。
 そこはメーカーとエンジニアの腕の見せ所で、手を加える部分はいくらでもあるだろう。
 そして、結果的に「サーバーで音が変わった」となっても別に不思議でも何でもない。
 なにせオーディオ機器なのだから。


 サーバーはハードで音が変わる。
 では、ソフトではどうだろうか。
 音源の保存と配信という根幹機能を担うサーバーソフトは、はたしてサーバーの音質に影響を与えるのだろうか。


 ハードは実際に導入しない限り音を確かめる術はないが、サーバーソフトであれば話は変わる。
 「サーバーで音が変わる」という認識が一般化し、さらに様々な機器で使用可能なKazoo Serverが登場したこのタイミングで、あらためて「サーバーソフトで音は変わるか」ということを確かめてみたい。


 ちなみに前回の検証では「サーバーソフトでは音は変わらない」という結論に達した。
 今回もやるだけのことはやるが、正直に言って同じ結果を期待している。


○検証したサーバーソフト

TwonkyMedia 8.0.2.0
Asset UPnP 4.2
MinimServer 0.8.3
Kazoo Server 4.3.513

これら四つをTS-119で同時に使用する。
「同一のサーバー機器から同一の音源を異なるサーバーソフトで配信する」という状態になる。


○再生環境

LUMIN A1
Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire


○検証音源

最近ドハマりしている音源を使用。

Roy Hargrove / Earfood より 「Strasbourg/St. Denis」
掛け値なしで最高の一曲。オーディオ的な品質も申し分なし。
2015052301

Eric Johnson / Venus Isle より 「S.R.V」
ギター担当。録音的にはそれほど優れるわけでもないが、とにかく聴いて痺れる一曲。
2015052302

KOKIA / I Found You より 「I Found Love」
声担当。さほど凄みのある録音ではないが、ピアノとボーカルのシンプルな構成だけにコーラスワークが冴え渡る。超名曲。
2015052303

 で、この三つの音源で下図のようにプレイリストを作って比較する。
 ついでにL1にもゲスト参戦してもらった。が、特に意味はない。強いて言えば、「サーバーで音が変わる」という認識を強化するために。
2015052304


 聴く。



 ………


 ……


 …



 変わらない。

 やっぱりサーバーソフトで音は変わらない。

 もしサーバーの使い勝手を決定付けるサーバーソフトで音が変わってしまえば、使い勝手を求めるか音質を求めるかで確実に不幸かつ不毛な争いが起こるだろう。

 しかし、そうならずに済む。

 よかった。実によかった。

 PCやQNAP製品など、サーバーソフトが複数走る余地のあるサーバーを使っている人は幸いだ。
 音質云々を問題にすることなく、純粋に自分の求めるブラウズ作法に基づいてサーバーソフトを選択できるのだから。



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