B&W CMSeries販売終了のお知らせ


 ついにCMシリーズも完了。ちょうど私がオーディオ趣味を始めた辺りで登場したシリーズ(最初はCM1だけだったが)なので、それを考えるとなかなか感慨深い。ひとつの時代が終わったような、そんな感覚。
 というわけで、思い出話でも。

 つい最近CM10が出てきたばかりなので随分急な気もするが、CM1から数えればシリーズ自体は相当長く続いていた。
 CMシリーズの原点であるCM1は正体不明の低音が小さな箱からドコスカ出てくるよくわからないスピーカーという感じで、あまり好きなスピーカーではなかった。その後出てきたCM7を経て、CM5とCM9が出てきたことでCMシリーズは完成する。
 CM7はさておき、オリジナルであるCM1とCM5・CM9は同じシリーズでありながら、まったく別のスピーカーという印象を受けた。CM1が異質すぎただけかもしれないが。
 前述のとおりCM1はあまり好きなスピーカーではなかったが、CM5とCM9は問答無用に素晴らしかった。特にCM5の完成度は群を抜いていて、ペア15万弱でこれだけの音が手に入るのかと驚いた記憶がある。B&Wらしく同価格帯では他のメーカーを寄せ付けない分解能を誇り、それでいて万人受けする華やかな音色も併せ持ち、アンプに優しく朗々と歌い、さらに見た目もいい。硬さや鋭さも難なく再生する基本性能の高さは映画用としても極めて優秀。神経質さよりも楽しさに振った音は、当時の805Sよりも今の805Dに近い。685も素晴らしいスピーカーだったが、CM5はさらに素晴らしいスピーカーだった。
 ちなみにCM10は聴いたこともない。ワイドレンジで豪華になったPM1というイメージを持っているがどんな感じなのだろう。

 B&Wの新600シリーズはだいぶ値上がりしたので、おそらくCMシリーズの次……CMシリーズ2になるのか、700シリーズが復活するのか、はたまたPM1がシリーズ化するのかは知らないが、なんにせよ従来よりは高価になるだろう。そして、また面白いシリーズになるはずだ。
 40kHz以上を再生できなければハイレゾではありませんとか、そんなことを喧伝するよりも、優れたスピーカーが登場し、その魅力を大いに伝えるほうがよほどオーディオ業界の活性化に繋がると私は思う。

 Dynaudio一筋の私ではあるが、ものづくりの哲学や実際の製品の優秀さにおいて、B&Wは音の好き嫌いを越えたところで尊敬すべきスピーカーメーカーだと思う。今後も素晴らしいスピーカーを作り続けてくれることを願ってやまない。
 CMシリーズはそうそう陳腐化するようなスピーカーではないと思うので、ユーザーは大事に使っていってもらいたいものだ。