居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌にしがたい快適さ。


 これこそ、ネットワークオーディオが目指すゴールであると私は考えている。
 
 これをもう少し具体的にして、以下の四つを目標として設定しよう。



①音楽を聴く際、いちいち椅子から立ち上がる必要がない。

②ライブラリ内のすべての音源に管理/情報が行き届いている。

③すべての音源にアルバムアートが埋め込まれ、音楽を視覚的にも楽しめる。

④自分の好みに合わせた方法/インターフェースで聴きたい曲を探せる。




 ①は音源をデジタル・ファイルとして扱う時点で、自動的に達成される。

 ②と③は『ライブラリ』作りの肝となる。

 ④は『サーバー』と『コントロール』の両方が関係する。

 あれ? 『プレーヤー』は? と思うかもしれない。
 実際のところ、ネットワークオーディオのシステムを構築するうえで、『プレーヤー』は(機能面では)あまり重要ではない。ネットワークオーディオにおいてはプレーヤーから『コントロール』が独立しているため、どんなプレーヤーを使おうが担うのはひとえに『再生』だけなので、ユーザー・エクスペリエンスには特に影響を及ぼさない。(ギャップレス再生に対応していないとか、そういう論外な要素はとりあえず考えない)



 第7章の実践編では、今までの記事で知識面については散々書いてきたので、ネットワークオーディオをゼロから始めて、上述の快適さを手に入れるまでを順を追って見ていく。
 必要なハード、ソフトに始まり、それぞれの機器の接続方法、ソフトの使用方法についても触れて、とにかく「これさえ読めば大丈夫!」というような内容を目指す。あまりにも電気屋的・あるいは専門的な内容になるとお手上げだが。
 また、『サーバー』『プレーヤー』『コントロール』の三要素はもちろんだが、その前段として、『普遍的なライブラリ』作りにも大いに注力する。

 繰り返しになるが、『普遍的なライブラリ』とは、


・大元となるCDからの情報欠落がない
(リッピングの場合)

・すべての音源にアルバムアートを含む必要なタグが完全な形で登録されている
(タグを使えないフォーマットは最初からNG)

・将来に渡ってタグの編集やフォーマットの変換に対する可逆性・柔軟性を備えている
(非可逆圧縮のフォーマット、例えばmp3はこの時点でNG)

・どのようなハードウェア/ソフトウェアであっても等しく機能する
(特定のハード/ソフトでしか扱えないフォーマットは使わない)



 以上の要素を完璧に満足するライブラリである。


 ちなみに、第7章の目的は快適なネットワークオーディオの環境を構築することであって、音質にこだわることではない。もちろん、“オーディオ”という趣味の一環である以上、守るべきところは守るが。
 WAVとFLACによって音が違うとか、リッピング時のPCの挙動によって音が違うとか、HDDとSSDで音が違うとか、そういったものは一切扱わない。そんなものはきちんとシステムを構築し、快適さを手に入れた後であれこれ気にすればいい。

 よって、ネットワークオーディオの実践においては、音質よりも、快適に音楽を聴けることを大事にしよう。


 実際の構築の仕方については色々な考え方があるとは思うが、以降の記事では私が推奨する方法を紹介している。私の手法が唯一の正解というわけでもないので、あくまで「こんな方法がある」という風に受け取ってもらいたい。

 「はじめに」でも書いたが、これから始めるユーザーが最短で最適解に辿り着けるような構成を目指すつもりである。 



【音源管理の精髄】 目次