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そのUHD BDは本当に4Kマスターなのか?

公開日: : 最終更新日:2017/01/27 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

「4Kマスターではない」等のUHD BDについて
日本のアニメのUHD BDはどうなる?


 IMDbというサイトがある。
 「インターネット・ムービー・データベース」の略で、その名の通り映画に関する諸々の情報が集約されたデータベースである。

 私が【UHD BDレビュー】で「映像」の項目に「6K撮影・4Kマスター」というように付記している撮影時とマスターの解像度は、IMDbの「Technical Specifications」の情報を掲載している。IMDbの情報がどこまで正確かは多分に怪しいとのことだが、現状私はIMDb以外の情報源を持っていないので致し方なし。
 AV誌など、他の人がどんな情報源を使っているかは不明。ソフトメーカーとのパイプでもあれば、情報提供を受けられるのかもしれない。ただ、Blu-ray.comに関してはIMDbの情報を参照しているようだ。


 さて、この記事で問題にしたいのは、「UHD BDをリリースしているソフトメーカーの情報と、IMDbに掲載されている情報に相違がある」ということだ。


 『オブリビオン』という作品がある。
 とんでもなく高画質なソフトで、「もはやBDの画質は単なるHDという解像度の枠組みから逸脱しつつある」と強く感じさせたタイトルである。4K以上の解像度で撮影された映画は、HD解像度に映像を落とし込んだとしても格の違う高画質を実現できるのだなあ、と。

 しかしこの『オブリビオン』、IMDbによれば撮影時の解像度は4K/5Kでも、マスター(Digital Intermediate)の解像度は2K止まりである。UHD BDにするためには、2Kマスターを4Kにアプコン収録するという、あまりにも悲しい工程が必要になる。
 そもそも2K(HD)でデジタル撮影されたタイトルなら、マスターが2Kでも何の問題もない。ただIMDbによれば、2.8K、3.4K、4K、5K、6K、6.5K……HDを遥かに越える解像度で撮影されたタイトルであっても、マスターの解像度は2Kということはざらにある。また、スキャンによりデジタル化を行う――実質的な画質/情報量は別として、撮影時の解像度という制限が存在しないフィルム撮影の新作/近作であっても、マスターの解像度が2Kということがざらにある。どうしてこうなってしまうのか。それほどまでに4Kでの映像制作は労力と予算の両面で苦難に満ちているのだろうか。


 そんな「悲劇の2Kマスタータイトル」である『オブリビオン』も、予想通りUHD BDでリリースされることになった。
 ところが……

「スター・トレック」や「オブリビオン」など4作品がUHD Blu-ray化。Atmos音声 – AV watch

映像は新たに4Kリマスターされ、


 なんだと……

 IMDbによれば、『オブリビオン』・『スター・トレック』・『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は2Kマスター、『LUCY/ルーシー』は4Kマスター。
 スタートレック二作はフィルム撮影なので、フィルムスキャンやCGのレベルから4Kリマスターをしたのだろうか? そしてルーシーを4Kリマスターする意味とは? まさかとは思うが、上映用にプリントしたフィルムを使ってUHD BD用のマスターを作り、それをもって4Kリマスターなんてことを言っているのじゃあるまいな。

 謎。



 そして二つ目の謎。


SPEのUHD BDプロモーションサイト

 …………

 ………

 ……

 …


 あれ?


 そもそもこの記事を書こうと思った理由のひとつは、数日前に上記のサイトで「SPEのUHD BDはすべて4K撮影・4Kマスターで作られています」的な文言が書かれていたのを見たことなのだが、いつの間にかそれらの文言が消え去っている。
 「実はUHD BDっつっても2Kマスターのタイトルも多い! 2Kマスターのタイトルはアプコンだけど、うちのタイトルは全部4Kマスターだからとっても高画質!」ってな感じで、画像まで用意して胸を張っていたのに。SSを撮っておけばよかった。
 「文章・図版協力:月刊HiVi」。ふうん……

 まあいいや。

 以下はすべてIMDbに掲載の情報である。


『ロスト・バケーション』(原題:The Shallows)
ARRIRAW (3.4K) (source format)
Digital Intermediate (2K) (master format)
ProRes 4:4:4 (2K) (source format) (some scenes)
Redcode RAW (4K) (source format) (high-speed shots)


『フィフス・ウェイブ』
ARRIRAW (2.8K)
Digital Intermediate (2K) (master format)


『バイオハザードIV アフターライフ』
HDCAM ←
Digital Intermediate (2K) (master format)


『コンカッション』
ARRIRAW (3.4K) (source format)
Digital Intermediate (2K) (master format)


 ……

 なお、『アメイジング・スパイダーマン2』のようにフィルム撮影による4Kマスター、『チャッピー』のように5K撮影による4Kマスターなど、(これまたIMDbの情報だが)胸を張って4Kを名乗れるタイトルも存在する。


 繰り返すが、IMDbの情報が100%正確だと言うつもりはない。その辺の内情はwikiを見れば嫌というほどよくわかる。

 「我が社のUHD BDはすべて4K以上の撮影・4Kマスターで作られています」と当のメーカーが言うのなら、どこかの誰かがアップした情報の寄せ集めでしかないIMDbよりも、そちらを信用するのが筋だろう。先の「4Kリマスター」の話も含めて。ソフトのリリースに関して信用を失う前科でも大量にない限りは。

 しかし、今回SPEが文言を撤回したということは、つまり、そういうことなのだろう。


 あーあ。


 自分の目以外で、私はいったい何を信じればいいのやら。



【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ

【UHD BDレビュー】総まとめ

【BDレビュー】総まとめ

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

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Comment

  1. 甲府@中山 より:

    UHDBDは30本ぐらい購入(ほとんど北米版)視聴しましたが、4Kマスターで製作されていない作品が多過ぎると感じています。
    さらに解像度という視点で書かれていますが、ダイナミックレンジがほとんどBDと変わらないソフトがHDRとして販売されていたり、無理にHDR化されているソフトもあるので、雑誌に記事を書かれている先生にはもっと声を出して欲しいです。その点で、ホームページという位置ずけですが、よく記事化されたと感じました。

  2. sakakihajime より:

    甲府@中山さん

    AV系の記事はほとんど寄稿しておりませんのでアレですが、少なくともこの場においては、言いたいことを素直に言う姿勢を貫いています。

    解像度の問題、HDRの問題、色域の問題、表示するディスプレイの能力も含め、UHD BDが真価を発揮するのはまだまだ先なのかなとも思います。現時点で高く評価している『レヴェナント』だって3.4K撮影が混じっているくらいですし。撮影・製作・表示プロセスの進化に伴い、UHD BDの画もBDの時と同じように、黎明期からは想像もつかないような長足の進歩を遂げるのではないでしょうか。

    ちなみに“がっかり”BD10選でも書いたように、この業界に自浄能力はありません。そして期待したところでなんともなりません。というわけで、私はここで、あくまでひとりのユーザーとして、言いたいことを言うのみです。

  3. 甲府@中山 より:

    そうですね、もう少し待たないと、新しい
    ワークフローが確立しないかもしれません。
    今後も鋭い記事を楽しみにしています。

  4. clintonlibido より:

    ブログ拝読させていただいてます。
    「THE REVENANT」はNEARL 4Kですね
    撮影は3.4K(一部シーンは6.5K)、VFXは2Kレンダリング

    Iこちらのサイトが参考になります。
    http://realorfake4k.com/

    • sakakihajime より:

      clintonlibidoさん

      ご紹介ありがとうございます。
      しかしIMDb同様、情報の確度という点ではどうなのでしょう。IMDbにはないVFXのレンダリング解像度の情報があるのはいいのですが、それにしてもどこから情報を拾ってきているのでしょうか。
      また、VFXのレンダリング解像度が2Kでも、撮影がフィルム/4K以上・DIマスターが4Kなら「Real 4K」としている辺りにも疑問が残ります。リアルとはいったい。しかも例のサンダーボルトもReal 4Kになってますし。

      結局、そのページでも書かれているように、「Fake 4Kと言っても必ずしも”悪い”わけじゃなく、色彩やHDRという向上もあるし、実際凄い画を見せるタイトルもあるよ!」ということなのでしょう。

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