*

日本のアニメのUHD BDはどうなる?

公開日: : 最終更新日:2016/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

 そもそも、4K解像度/HDR/BT.2020のフルスペックで製作された日本のアニメ作品は存在するのだろうか?
 あるのなら、是非それを明言したうえで、UHD BD化してほしい。


ガンダム初の4K UHD BD「機動戦士ガンダム サンダーボルト」がHDR対応で12月発売 – AV watch

 日本アニメ初? のUHD BDは、あのバンダイビジュアルから。
 見る所を見れば撮影機材からマスター解像度までわかる映画とは違い、日本アニメはどのような環境・マスターで作られているかを知る術がほとんどない。
 今回UHD BD化が発表されたサンダーボルトもその通りで、記事にも、バンダイビジュアルの商品ページにも、マスターの詳細を知るための情報は存在しない。ただ「4KですよHDRですよ凄いですよ」と言うのみである。一応wikiによれば、本作は「ガンダムシリーズのアニメとしては初めて4K画質で制作されている」とのことだが。

 わからない。

→【追記参照】



「アクセル・ワールド -インフィニット・バースト-」UHD BD化。HDR対応も – AV watch

 サンダーボルトに比べれば、むしろこちらの方が買う側にとってはありがたい。
 なぜならば、

UHD BD版に収録する映像は、HDマスターを、エンコード結果に最適化するよう設定して4Kにアップコンバートしたものを使用。HDR対応は、「オリジナル画質を忠実に再現した上でHDR領域を拡張した」という。


 このように明記されているからだ。
 これなら、買う人も買わない人も、明確な情報に基づいた判断を下すことができる。

 とはいえ、昨今のプレーヤーやディスプレイは機器の側で4KアプコンやHDR化する機能を備えている。はたしてソフトの時点でアプコンとHDR化を行うのがいいのか、ハードの側で行うのがいいのか、難しいところである。
 もちろんUHD BDを売る側としては「ソフトの時点でアプコン/HDR化したほうがいいに決まってんだろ!」と言うのだろう。しかし、そんなもん実際に見てみなけりゃわからん。


 日本のアニメで真にUHD BDの恩恵に浴する可能性があるとすれば、フィルム製作の作品の徹底的なリマスターが考えられるが、その「徹底的なリマスター」を行えるソフトメーカーは実質ジブリくらいのものだろう。傷まみれ額縁仕様を4Kで出されたところでまったくの無意味である。

 例えばAKIRAのマスターフィルム(あるいはそれに準じるもの)をクライテリオンに引き渡して、クライテリオンの手で徹底的にリマスターした結果のUHD BDなら、たとえ数万円しても手を出すんだがなあ……



【2016/12/15追記】

4K/HDRはアニメにも効果大! ガンダム初UHD BD「ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」を体験 – AV Watch

制作レンダリングにかかる時間なども考慮すると4Kでアニメを作る事は難しく、それでも通常のアニメよりは高解像度で、なおかつ4Kにもアップコンバートもしやすい解像度として1,440×810ドットで作られた。
そこに、パナソニックが4K/HDR映像化の話をもちかけ、実現したのが今回のUHD BD版となる。



“がっかり”BD10選

⑨高解像度で作られていなかったアニメ作品

今でも3DCGの解像度が足りていなかったり、作画素材の解像度が足りていなかったりということが散見されるが、4K時代のアニメはいったいどうなるのだろう


 BDが出た時と状況は全く変わっていないようだ。

 まぁそれはそれとして、サンダーボルトに関してはきちんと情報を出してくれて本当に良かった


 大元のマスターが4K未満だったとしても、高精度なアプコン、潤沢なビットレート、色域の拡大、HDRといった要素により、BDに比べてUHD BD版の方がきっと高画質になるのだろう。実際の画質は見てみないことには何とも言えないにせよ、理屈で考えるなら、その点に異論はない。画質は解像度だけで決まるのではないし、現状では、ハリウッドの大作映画ですら2Kマスターのタイトルが多いくらいだ。

 ただ、UHD BDというかつてない大きさの器を使い、「4K画質」を謳ってBD以上の価格を設定するのなら、せめて「どのように作られたのか」を明示してほしいのである。何も情報がないまま「UHD BDなのだからきっと高画質のはず」という希望だけに基づいて買うのと、色々と納得したうえで買うのとでは、買う側の意識に雲泥の差がある。どうせ買うのなら、納得したうえで買いたいのである。

 たとえマスターに関する情報が何もなくとも、私は「UHD BDなのだからきっと高画質のはず」という希望だけに基づいて買ってしまう種類の人間である。「画質と音質にこだわることで、ただでさえ大好きな作品がもっと面白くなり、愛してやまない作品からより深い感動を引き出せる」と信じており、そしてUHD BDはBD以上の画質と音質(※)を実現し得るものだからだ。

 UHD BDを出すなら出すで、映像仕様に関する情報をきちんと明示したうえで胸を張って出してほしいと、オーディオ・ビジュアルを趣味にする者として切に願っている。

※UHD BDにしかオブジェクトベース音声を収録しないなんてことがあるからね……



そのUHD BDは本当に4Kマスターなのか?


【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ

【UHD BDレビュー】総まとめ

【BDレビュー】総まとめ

スポンサーリンク


関連記事

Roon 1.3のプレビュー

Coming over the hill: the monstrous Roon 1.3 - DAR

記事を読む

“ハイレゾ対応機器”の定義が発表されたので

 自前の機材がどれだけ“ハイレゾ対応”なのかちょっと調べてみた。 日本オーディオ協会、“ハ

記事を読む

【AV史に残るBD勝手に10選】第5位『眠れる森の美女』 ― 50年越しの奇跡

【BDレビュー】第90回『眠れる森の美女』  奇跡。  奇跡としか言いようが

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第217回『トップをねらえ!』

お前とアマノは ひとりひとりでは単なる火だが…… ふたり合わせれば炎となる! 炎となったガ

記事を読む

【アプリ紹介】PlugPlayer iPad版

※この記事のデータ等は基本的に2012年3月16日時点のものです ●イントロダクション

記事を読む

【音源管理の精髄】 WAVか、FLACか 【ネットワークオーディオTips】

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】 よくある質問と検索ワードへの回答

記事を読む

【ネットワークオーディオTips】コントロールアプリの検証 2014・速度計測について

コントロールアプリの検証 2014  今まで何度もアプリの速度を計測してきた。  感

記事を読む

【ネットワークオーディオTips】 Asset UPnP for QNAP Testバージョンを追う

↓情報を統合・刷新した記事を作成したのでこちらを参照↓ サーバーソフトの紹介 『Asset U

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第224回『獣兵衛忍風帖』

BD化されていたという事実を三か月も見過ごしていたとは……不覚! 画質:9 音質:6

記事を読む

ネットワークオーディオのコントロールアプリに高解像度のアルバムアートを表示する、そこに到る長い道のり

※2015/09/12追記※ この記事は私が呼ぶところの「トンキー病」との出会いについて書いた

記事を読む

スポンサーリンク

Comment

  1. smith より:

    『サンダーボルト』のメイキング映像を見る限りでは本作は一般的なTVアニメと同じ大きさの作画用紙で製作されているようです。おそらくB4かと。

    なので手書き部分に関してはスキャンの関係上フルHD程度の解像度しかありません。寧ろ観た感じフルHDで制作されてる他のアニメ作品よりも少し解像感は落ちます。

    https://www.bandaivisual.co.jp/cont/item/BCQA-0001/
    こちらに記されている様に「本商品と同じ技術を用いてテスト的に4KHDR化した」とあるので『サンダーボルト』のマスターは4K以下なのか、あるいはCG等のポストプロセスのみを4Kで行なったのを「4K制作」と言っているのかもしれません。

    • sakakihajime より:

      smithさん

      >手書き部分に関してはスキャンの関係上フルHD程度の解像度しかありません。寧ろ観た感じフルHDで制作されてる他のアニメ作品よりも少し解像感は落ちます。

      普通に考えればそんなこったろうと思います。

      製品ページにある他作品の4K/HDR化に関しては、デジタル製作のORIGIN・UCとフィルム時代のW・0083を一緒くたに扱っている時点で、Wと0083はマスターフィルムのレベルにまで戻って新たに4K/HDRマスターを作るのではなく、BD化の際に作成したデジタルマスターにポストプロセスを施すという方向が見え隠れしています。
      というわけで、smithさんのおっしゃる通りサンダーボルトもマスターレベルで4Kなのではなく、なんらかのポストプロセスで4K/HDR化を行っているのだと思っています。

      UHD BDは過去最高に器の大きな映像メディアです。
      だからこそ、どのような映像マスターを使い、どのようなプロセスを経て作られたUHD BDなのか、売る側が明言してほしいところです。

      【2016/12/15追記】
      後発の記事によれば、フィルム作品についてはフィルムのレベルからリマスターをしているようですね。
      http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1034441.html
      初出の記事中の「同じ技術」とは、つまりHEVCエンコードやオーサリングの行程を指していたということのようで。

  2. 00Q より:

    バンダイビジュアルに問い合わせたところ、サンダーボルトのUHD BDは2Kサイズを4Kサイズにアップコンバートしたものをマスターにしてるそうです。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

LUMIN A1、導入3周年 終わらない進化とMQA対応

 LUMIN Appはバージョン3から相変わらず最強だし、  iPh

【UHD BDレビュー】第18回『シン・ゴジラ』

【考察】シン・ゴジラとヤマタノオロチ、そして現代のスサノオ神話

PS3の出荷(近日)完了に寄せて

PS3本体の出荷が近日終了 - GameSpark  私のP

【Roon Ready】CHORD Poly

 CHORD Mojoに接続して使う、Roon Readyの「ポータブ

【UHD BDレビュー】第17回『オペラ座の怪人』

『オペラ座の怪人』のUHD BD 画質:9 (画質は

LUMIN is NOW Roon Ready! そしてMQAとSpotifyにも対応予定

LUMIN STREAMING SERVICES  ほんとに

【レビューまとめ】fidata HFAS1-XS20 ― 専用機であるということ

外観編 音質・サーバー編 音質・ミュージックサーバー編

【レビュー】fidata HFAS1-XS20 × OPPO Sonica DAC 音質・ミュージックサーバー編

外観編 音質・サーバー編 fidataのCDトランスポート

【Roon Ready】dCSのNetwork Bridge

dCS、RoonReady対応のネットワークトランスポート「Netwo

fidataのCDトランスポート機能を使ってみた

fidata公式サイト USB接続光学ドライブにセットしたCDを

Roon 1.3 (Build 208)とTIDAL Masters

TIDAL MASTERS with MQA  RoonのB

デジファイ No.25で記事を執筆しました

DigiFi(デジファイ)No.25 3月2日(木)発売【特別付録】ハ

Raspberry Piとワンボードオーディオ・コンソーシアム

Raspberry Piで音楽再生、「ワンボードオーディオ」共通規格化

【レビュー】fidata HFAS1-XS20 音質・サーバー編

外観編 音質・ミュージックサーバー編  まずは、純粋な

【ハイレゾ音源備忘録】John Mayer / Continuum

・アーティスト / アルバムタイトル John Maye

【ハイレゾ音源備忘録】John Mayer / The Search for Everything – Wave Two

・アーティスト / アルバムタイトル John Maye

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』がUHD BDでリリースされなかった……

スター・ウォーズ最新作『ローグ・ワン』4月28日にBD発売。プレミアム

「FAN AKITA」のプロジェクトが終了しました

クラウドファンディングサービス「FAN AKITA」でプロジェクトを実

【レビュー】fidata HFAS1-XS20 外観編

fidata HFAS1-XS20 - 言の葉の穴  もっと

【菅江真澄紀行文・本編紹介】第十章「羽後に群立つ神杉の座所」

クラウドファンディングサービス「FAN AKITA」でプロジェクトを実

→もっと見る

PAGE TOP ↑