前回の記事において、「タグとは何か」「何がタグなのか」を示した。

 そして今回の記事では、「タグはなぜ重要か」ということを、タグ管理に関する「駄目な例」を踏まえて示したい。


 おさらいを兼ねて、もう一度タグについて確認しよう。

・タグとは、「音源に“内的に”付加された情報の総体」である。

 ここで、「タグはなぜ重要か」という問いに対し、あらかじめ私なりの答えを提示しておく。
 タグはなぜか重要か。

・音源管理における情報の最小単位であり、選曲時においても必要不可欠であり、ひいては「快適な音楽再生」の根幹を成すから

 ……である。


 それでは、また実例(駄目なやつ)を出しながら見ていこう。

 以下のようなフォルダ構成で音源を用意する。
 『Pop』→『Corrinne May』→アルバム4枚

 ちなみに前回、いわゆる「ファイル名」はタグとは基本的に別物であるということを示した。そのことを踏まえて見てもらいたい。

WS000008

WS000009

WS000010

 要は『ジャンル』→『アーティスト』→『アルバム』という流れである。
 では、この音源フォルダを、ネットワークオーディオのコントロールアプリから覗いてみよう。ちなみにアプリはChorusDS、サーバーソフトはTwonkyServerを使用する。

 まずは『ジャンル』で。
 !?
3

 次に『アーティスト』で。
 !?
2

 最後に『アルバム』で。
 !?
1

 なんじゃこりゃ、と思うかもしれない。それゆえの駄目な例である。
 タグはファイル名とは違う、内的な情報である。それゆえに恐ろしい。フォルダ上では一見まともに見える音源でも、蓋を開けてみるまで本当の姿は分からないのだ。


・フォルダにおけるジャンル分けは『Pop』だけなのに、アプリから見ると……すなわちタグを参照すると『Pop』『Pops』『ポップ』『不明』の四種類にばらけている

・フォルダにおけるアーティスト分けは『Corrinne May』だけなのに、アプリから見ると……すなわちタグを参照すると『Corrinne May』『corrinnemay』『コリン・メイ』『不明』の四種類にばらけている

・フォルダにおけるアルバムは四枚あるのに、アプリから見ると……すなわちタグを参照すると『Safe in a Crazy World』が消え、かわりに『不明』というアルバムが現れている

 そしてこれが、『不明』のアルバムの実態である。
 不明不明不明不明。とうぜんアルバムアートもない。「タグがない」ということは、「実際に耳で聴くまでその音源が何なのかまったく分からない」ということなのである。
Unknown

 はたして上のような状態を「美しいライブラリ」と呼べるだろうか? また、こんな状態から聴きたいアルバムをすばやく探し出すことなど可能だろうか?


why important
 ↑タグを理解すればこんな芸当も可能。

 以下、PCの再生ソフト(この場合はMediaMonkey)も表示する情報はタグをベースにしているの図。
WS000011



 断言するが、タグについてきちんと理解せず、タグの管理編集を放置してなんとなくテキトーに音源を積み重ねていくと、間違いなく滅茶苦茶なライブラリになってしまう。実際に今まで、その手の整理整頓がまるで行き届いていないライブラリは散々目にしてきた。
 まさに上で示した通り、タグをおろそかにしたライブラリにおいては、本来ひとつにまとまるべきジャンルがいくつも分散し、アーティストが分散し、さらにはタグがないことで行方不明のアルバムが続出する。こんな状態では「快適な音楽再生」など夢のまた夢絵に描いた餅、そもそもデジタルファイルの状態で音源を管理する意味がない。素直にCDを一枚一枚交換して聴くほうがはるかにマシである。

 音源管理とはすなわち、タグを理解し、使いこなすことだと言える。そしてそれは、ライブラリの構築そのものだと言ってもいい。
 タグが狂えばすべてが狂う。
 タグがなければ何もできない。

 ちなみに、「別にタグなんかなくったって、フォルダベースで音源を探すからいいもんね」という声があることも承知している。
 実際、サーバーソフトによってはPC上で見るようなフォルダベースでブラウズできるものも存在する。フォルダベースなら、確かにファイル名さえしっかりしていれば選曲においては特に問題にならないだろう。
 しかし、その場合聴きたい音源にたどり着く経路が一つに限定され、自由度も快適さも著しく減退する。工夫しなければアルバム内の曲順も狂う。そして結局、「今聴いている音源の情報」は基本的にタグベースで表示されるため、どのみちタグをおろそかにしてよい道理はない。


 そもそもリッピングの際、リッピングソフトに表示される諸々の情報は「タグとして付加される」と同時に、「フォルダ名や階層構造、ファイル名としても使われる」。それらの情報をタグとして付加せず、フォルダ名やファイル名としてのみ使うことに意味はない。
 音源に自分の意思を反映させ、きちんとタグを管理できるということは、同時にフォルダ管理もきちんとできているということである。それに、タグを管理しているからといって、フォルダベースのブラウズをするなと言っているわけではない
 タグ管理とフォルダ管理は両立する。決して喧嘩しない。ダウンロードした音源となれば確かに手間だが、CDについてはリッピングの時点でタグ管理とフォルダ管理が同時に完成する。両者を切り分けて考えること、それ自体がおかしいのである。
 「タグ管理がめんどくさいからフォルダ管理をしている」という人の中には、「一切自分の意思を反映させずに機械任せでリッピングし、その結果生まれた要領を得ないフォルダとファイルをまた一から編集する羽目になっている」という場合もあると思われる。とすれば、「タグ管理とフォルダ管理は別々にやらなくてはいけない。タグ管理はめんどくさい。一方でフォルダでブラウズすれば音源には辿り着けるから、フォルダ管理さえしていればいい」という発想になってもおかしくはない。結局のところ、最初の躓きが後々まで尾を引いているのである。

 とにかく最初が肝心である。



 そうでなければ、ライブラリはいずれ破局を迎える。



 タグを制する者は音源管理を制する。

 タグこそが快適な音楽再生の根幹を成す。


 それゆえに、タグは重要なのである。



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